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犬や猫の皮膚が赤くてかゆそう!考えられる病気・治療法を徹底解説
「飼っている犬が皮膚をかゆがる」「猫の毛が抜けていて、なんだか皮膚も赤い」などのお悩みは、非常に多くの飼い主様から寄せられます。
愛犬や愛猫が皮膚をかゆがる姿は、飼い主様にも大きなストレスになりますよね。
そこで今回のコラムでは、
- 犬や猫が皮膚をかゆがる原因
- 当院での治療方法
- そのほかの犬猫の皮膚トラブル
上記3点について説明をしていきます。ぜひ参考にしてくださいね。
犬と猫の皮膚の病気
ワンちゃんやネコちゃんの代表的な皮膚病には、大きく分けて以下のようなものがあります。
- アレルギー性疾患
- 細菌性、真菌性疾患
- 寄生虫性疾患
ではここから、それぞれの病気について見ていきましょう。
●アレルギー性疾患
動物病院でとても頻繁に遭遇する病気です。
大きく「アトピー性」と「食物性」の2種類があり、基本的には一生付き合っていく体質的なものです。
症状の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 体の様々な場所に「対称性」のかゆみ・赤みが出る(両耳、四肢、お腹など)
- 何度もぶり返す(特定の季節になると、お薬が切れるとなど)
- 1~3歳ごろから起こることが多い
- 食物性アレルギーの場合、ゆるいうんちを1日に何度もする
かなり典型的な症状が出ることが多いため、上記のような症状が出る場合には受診をおすすめします。
またネコちゃんに多い病気として、ノミや蚊へのアレルギーも挙げられます。
「粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)」と呼ばれボコボコした湿疹ができるのが特徴的で、これらが見られる場合にはぜひお声かけください。
●細菌性・真菌性疾患
こちらも頻繁に遭遇する病気です。
代表的なものには「膿皮症(のうひしょう)」「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」「マラセチア性皮膚炎」などが挙げられます。
それぞれ病態が少しずつ異なっていますが、以下のような症状が見られる場合が多いです。
- 「非対称性」にかゆみが出る
- 毛が抜ける
- 皮膚がカサカサorベタベタになる
- ツンとくるような臭い
- 徐々に範囲が広がる
特に皮膚糸状菌は、治るのに時間が掛かるうえ感染力が非常に強く、動物だけでなく人にもうつる病気です。そのため上記のような症状が見られた場合は、なるべく早めの受診をおすすめします。
●寄生虫性疾患
よく外に出る子が感染することの多い病気です。外の世界には多くの寄生虫がいますが、特に「角化型疥癬(かくかがたかいせん)」と呼ばれる寄生虫には注意が必要です。
ダニの仲間で、感染すると非常に強いかゆみに襲われます。また感染力の強さも特徴で、複数のペットを飼っている場合、あっという間に家庭内感染が広がっていきます。
- 激しく体をかゆがる
- 毛がごっそりと抜ける
- 毛質がバサバサになる
上記のような症状が見られる場合には、できるだけ早めに受診されたほうがよいでしょう。
皮膚の病気の治療方法
ここまで様々な皮膚の病気についてお話ししました。
飼い主の皆様が気になるのは「どんな治療を行なっていくの?」という点ではないでしょうか。
そこでここからは、当院で行っている皮膚の治療についてお話をしていきます。
●薬を使って治療する
代表的な治療方法です。口から飲ませる内用薬や皮膚に塗る外用薬など、様々な種類があります。
先程ご説明したどの病気に対しても、薬での治療は効果的です。
アレルギーに対しては過剰な免疫反応を抑える薬、細菌には抗菌薬、寄生虫には駆虫薬というように、その子の症状に合ったお薬を処方し治療を行なっていきます。
●注射を使って治療する
「お薬を飲んでくれないんです」「なかなか飲ませる時間を取れなくて」という場合には、注射を使って治療することが多いです。
長期間効果の持続する注射を院内で打ち、お家では経過を観察していただきます。
ご要望がございましたらぜひお声かけください。
●シャンプー・薬浴で治療する
薬の効果がそこまで高くない子や病変が皮膚の広い範囲に及んでいる子に対しては、シャンプーや薬浴を用いた治療を行うことがあります。
全身に体の外側からアプローチできるため、薬と併用することで高い治療効果が期待できます。
ただし、かなり頻繁にシャンプー・薬浴していただくため、飼い主様の負担がやや大きくなります。
犬と猫、その他の注意すべき皮膚トラブル
ここまで、ワンちゃんとネコちゃんの代表的な皮膚疾患についてお話をしてきました。
とはいえ、注意すべき皮膚トラブルはまだまだたくさんあります。
そこで最後に、上記で紹介したもの以外の「注意が必要な皮膚トラブル」についてお話をします。
●換毛期のトラブル
犬種によって違いはありますが、ワンちゃんも季節ごとに毛が生え変わることがあります。
これを換毛期といい、人間の衣替えのようなものです。
換毛期には大量の抜け毛が出るため、飼い主様はブラッシングや掃除に苦労することが多いでしょう。
しかし毛がうまく生え変わらない場合、残った古い毛が毛玉になり、細菌が繁殖しやすくなります。
これにより愛犬がかゆみや違和感を覚え、体をかいたり噛んだりすることで、皮膚に炎症を起こしてしまいます。
●外耳炎
耳の入口から鼓膜までの外耳道で炎症が生じる病気です。その主な原因にはアレルギー、異物、内分泌疾患などが挙げられます。また、犬の外耳道は構造的に通気が悪く、耳毛が多いことがさらに通気を悪化させ、ムレや細菌の増殖が外耳炎を悪化させる副因となります。
耳に異臭のする耳垢がたまっていたり、赤みが見られたりする場合や、耳を床や壁にこすりつける行動や耳や首を後ろ足で引っ掻く行動が見られたら、外耳炎の可能性があります。
外耳炎にかかったワンちゃんは、耳の不快感から首を傾けたり、炎症のある耳を下にしたりしていることが多いです。
このような症状が見られたら、受診をおすすめします。
●ひっかき傷・咬み傷
これは特にネコちゃんに多いのですが、鋭い爪や歯で体を掻いた結果、傷ができてしまうことがあります。
- 皮膚から出血
- 漿液(しょうえき)で毛がカピカピ
- 毛が途中で切れて硬くなる
上記の状態が皮膚に見られたら、自分で体を掻いている可能性が極めて高いと言えるでしょう。
●野良猫との接触による疾患
お家で飼っているワンちゃんやネコちゃんに皮膚糸状菌や寄生虫の感染が見られる場合、野良猫との接触が原因となるケースがとても多いです。
野良猫は人間からのケアを十分に受けていないため、思いもよらない病気を持っていることも少なくありません。
「外から帰ってきてから体をかゆがる」というふうに感じられるのであれば、早めに受診されたほうがよいでしょう。
まとめ
今回のコラムでは、ワンちゃんやネコちゃんが皮膚をかゆがるときや皮膚が赤くなっているときに考えられる病気とその治療法についてお話ししました。
皮膚の病気の中には、放っておくと他の動物や人にうつるもの、だんだんとかゆみを増していくものなど様々な種類があります。
当院ではそれぞれの疾患に適切な治療法をご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。