予防
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ワクチン接種
動物たちは言葉を発するわけではなく、自分で症状を訴えることができません。家族の一員である動物たちの健康を守るには、ワクチン接種も重要になります。ワクチンにより免疫を獲得できると、特定の病気に対する発症や重症化の予防が期待できます。
動物たちの不調にいち早く気づき、動物病院に相談できるのは飼い主様しかいません。当院では飼い主様へ分かりやすく丁寧な説明を心がけ、動物たちの負担や苦痛の少ない診療の提供に努めております。少しでも違和感や異変にお気づきの際は、すぐに当院にご相談ください。 -
混合ワクチン
犬、猫が感染してしまうリスクがある伝染病をまとめて予防する効果があります。接種時期や回数などは、獣医師までご相談ください。
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犬のワクチン
ワンちゃんのワクチンには「5種混合」と「7種混合」をご用意しております。幼犬は母犬から受け継ぐ免疫(移行抗体)に影響されやすく、ワクチン接種のタイミングや回数が重要です。ワンちゃんの年齢や生活環境に基づき、適切なワクチンを選択し、生後2か月〜4か月の間に2回〜3回接種を行います。健康状態や体質により、ワクチン接種が適さないワンちゃんもおりますので、早めのご相談をお願いいたします。
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猫のワクチン
ネコちゃんのワクチンには「3種混合」をご用意しております。生後間もない仔猫は、母猫から受け継ぐ免疫(移行抗体)に影響されやすく、ワクチン接種のタイミングや回数が重要です。ネコちゃんの年齢や生活環境に基づき、適切なワクチンを選択し、生後2か月〜4か月の間に2回〜3回接種を行います。詳細につきましては獣医師にご相談ください。
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狂犬病ワクチン
狂犬病は人間にも感染する伝染病です。発症による致死量は100%であり、現在も有効な治療方法は確立されていません。
日本国内では狂犬病予防法により、生後3か月以上のワンちゃんは年1回の狂犬病予防注射の接種が義務付けられています。これにより現在まで数十年もの間、狂犬病の発生が報告されていません。ただし、海外から狂犬病が入ってくる可能性は否定できず、ワンちゃんと家族の健康には、狂犬病対策が必要です。
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フィラリア予防
フィラリア症とは蚊を媒介して寄生虫が体内に侵入し、心臓や肺の動脈などに寄生する感染症です。無症状のまま進行し、臓器(心臓・肺・肝臓・腎臓など)の働きに悪影響を及ぼす可能性があります。治療や手術は体への負担が大きく、それよりも「感染の予防」を重視しましょう。また、フィラリア症はワンちゃんの感染が多く、蚊が活動する間は継続した予防が必要です。
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フィラリアの危険
蚊の吸血により、蚊の体内にいるフィラリアの幼虫が犬の体内に入ります。
犬の体内に侵入した幼虫は約120日かけて成⻑しながら移動し、最終的には成虫(約 30cm!)となって肺動脈や心臓に寄生します。成虫の寄生により、血管、心臓の機能は障害され、放置すると死に至る場合もあります。
フィラリアが成虫になってしまった場合、体力がある子であれば、成虫を駆除する薬を使用しますが、この治療は死んだフィラリアが肺の血管に詰まったりして命に関わる可能性があります。
急性のフィラリア症では首の血管からカテーテルを入れてフィラリアを取り出す大がかりでリスクの高い手術が必要になります。
また、フィラリアを完全に退治することができたとしても、心臓、血管、肺へのダメージは大きく、元の元気な状態に戻すことは難しいです。
よって、フィラリアが幼虫でいる間にしっかりと駆虫しなくてはなりません。 -
フィラリア予防
フィラリアが幼虫の間に駆虫を行い成虫にさせないことが一般的に「フィラリアの予防」と言われるものです。
そのため1ヶ月に1回お薬でしっかり駆虫する必要があります。
予防期間としては、蚊が出始めてから1ヶ月以内から蚊がいなくなってから1ヶ月後になります。地域や気候によって左右されますが、三木市・小野市周辺だと5月から11月末が平均的な予防期間になります。
特に最後の予防がとても大事なので最後まで忘れずに投薬を行いましょう。上田動物病院では、その子の好みや体調、生活習慣に合わせて錠剤のお薬、背中につけるスポットタイプのお薬、美味しいジャーキータイプのお薬、年に一度の注射タイプのお薬をご用意しております。
また、コリーやシェルティーは先天的な遺伝子異常があり、飲めるお薬が限定される場合がありますので、当院にご相談ください。 -
フィラリア検査について
フィラリアの予防薬を始める前に、毎年血液検査をしてフィラリアの感染の有無を調べることが必要です。
これはフィラリアが多く寄生した状態で予防薬を飲ませると、フィラリアが死ぬ際の毒素でショック症状を起こしたり、死んだ虫が血管に詰まったりして命に関わる場合があるからです。
検査により、心臓の中にフィラリアの成虫がいないかを検査します。また、フィラリアの赤ちゃんであるミクロフィラリアの有無も同時に確認します。 -
フィラリアは犬だけの病気ではありません!!
実は猫にもフィラリアは感染します。ある研究によると10%程度の猫がフィラリアに感染していると言われています。感染経路は犬と同じく蚊の媒介ですが、寄生場所と症状が違います。
犬のフィラリアは成虫が心臓や肺動脈に寄生しますが、猫のフィラリアは成虫までは成⻑せず、幼虫が肺のあたりで留まって症状を引き起こします。
主な症状は、咳や呼吸困難、嘔吐などです。うちの子慢性的に咳が続いているなと思ったらまずご相談ください。
猫で起こる原因不明の突然死が実はフィラリア症によるものだったというケースも報告されています。 -
猫のフィラリアについて
猫のフィラリア症は、犬より重篤な症状や突然死を招くことがあるにも関わらず、喘息などの他の病気と似ていたり、確定診断が難しいため見逃されがちな病気です。そのため、しっかりと予防を行うことがとても大事になります。
予防期間としては犬と同様で、蚊が出始めてから1ヶ月以内から蚊がいなくなってから1ヶ月後、つまり三木市周辺だとおおよそ5月から11月末となります。予防薬は、猫用のフィラリアとノミの合剤が出ているので、月に1回それを背中につけて行います。家でつけるのが難しい子は、病院でつけることも可能なのでご相談ください。
フィラリア症はかかってしまうと大変な病気ですが、ご家族の心がけ次第で予防できます。猫もしっかりフィラリア予防を始めることをお勧めします。
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ノミ・マダニ予防
ノミ・マダニは草むらにも潜んでおり、散歩の間に感染する可能性があります。また、室内で暮らしていても、飼い主様の洋服に付着したまま持ち込まれる危険性があり、決して油断はできません。
特にノミは吸血時に「他の感染症を媒介する原因」にもなり、感染症が原因で死に至るケースもあります。また、飼い主様やご家族の皆様にも感染するリスクもあるため、適切な駆除・予防が大切です。 -
ノミ・マダニの予防法
ノミ・マダニに感染すると、その治療は⻑引いてしまうケースが多いため、事前に予防することが大切です。ノミ・マダニにとって居心地がいい気温・場所であれば、冬でも感染する可能性があります。あたたかい季節以外にも適切に対策をとることが必要です。毎月1回の投薬を行って、継続的な予防に取り組みましょう。上田動物病院では美味しいジャーキータイプや背中につけるスポットタイプの予防薬をご用意しております。その子の体調や生活習慣に応じて最適な薬を選びましょう。詳しくは獣医師にお尋ねください。
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ノミについて
ワンちゃんやネコちゃんの背中に黑い粒が付いている…。
一度その粒を濡れたティッシュの上で潰してみてください。もし赤いものがにじんだらそれはノミの糞の可能性が高いです。
ノミが血を吸ってお腹いっぱいになった後、血を含んだ糞をするのでそのような見え方をするのです。ノミの糞があるということは、ノミが血を吸って産卵して数を増やそうとしているということです。ノミは13°C以上の環境で活発に産卵し数を増やすので、冬でも室内で増えていることがあります。1匹のメスが生涯に約2000個の卵を産み、1匹のノミを見つけたら50倍以上の卵、幼虫、さなぎがいると考えられます寄生された犬、猫はかなりの痒みを感じ、ボリボリ身体を掻いていると思います。また、ノミは痒みを引き起こすだけではなく、細菌やお腹の寄生虫をつれてくることもあります。
一度ノミを見つけたら環境中のノミが全滅するまで半年ほどかかりますので、ノミを繁殖させない予防を心がけましょう。 -
ノミによって起こる病気
ノミアレルギー性皮膚炎
吸血により、その唾液成分が体内に入ることで、アレルギー反応がおこり、激しい痒みや湿疹、脱毛などを伴う皮膚炎を示すようになります。寝ることもできないくらい痒がってしまう子もいます。
ノミアレルギーで痒がっている子でも約1/3でノミが発見されないので、試験的に駆虫を行う必要があります。 -
サナダムシ(瓜実条虫)
ノミの幼虫がサナダムシの卵を食べ、その体内で発育します。成虫になったノミを犬や猫がグルーミングなどで食べてしまうことにより、小腸に寄生し、下痢や嘔吐の原因になります。
動物の便に白色のごま粒のようなものが見られたら、それはサナダムシの片節(卵が詰まったサナダムシのかけら)である可能性があります -
猫ひっかき病
バルトネラという菌によっておこる病気で、感染猫からほかの猫にノミが媒介します。猫には症状は出ませんが、感染した猫に人間が引っかかれたり、噛まれたりすると、リンパ節がはれて、数か月続く発熱や頭痛を起こすことがあります。
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マダニについて
「かさぶたができているので診てください。」と来院した子を診てみると、かさぶたの様に見えていたものが吸血したマダニだったということがよくあります。
マダニは草むらに住んでおり、動物の血を吸って繁殖します。
この時、自分の身体の100倍くらいの血を吸うので、膨張してかさぶたの様に見えたのです。この吸血により、犬、猫の貧血を引き起こしたり、様々な寄生虫、ウイルスを媒介したりします。
人にうつる病気を持ってくることもあるため、注意が必要です。三木市周辺でもマダニは多く生息し、もらってくる子がいます。
もしマダニを見つけたら、無理に引っ張って取ろうとせずにすぐに病院にご相談ください。無理にマダニを取ってしまうと、マダニの中の病原体を体の中に注入してしまったり、頭の部分が皮膚に残ってしまうことがあります。 -
マダニによって起こる病気
犬バベシア症
バベシア原虫が赤血球に寄生、破壊することにより、貧血、発熱、食欲不振や⻩疸などがみられ、致死率も高い恐ろしい病気です。
マダニの吸血から48時間以降で感染のリスクが高くなるので、しっかりマダニを予防することや、早期の駆虫を行うことが大切です。 -
猫ヘモバルトネラ症
猫の赤血球表面に寄生するヘモバルトネラというリケッチアが原因となり、貧血、発熱、元気消失などの症状が見られます。
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ライム病
マダニからペットや人にも感染し、犬では主に神経症状、発熱、食欲不振などの症状が、人では皮膚症状や神経症状、関節炎などの症状が見られます。
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マダニ媒介性疾患SFTSについて
SFTSとは、マダニによって媒介される病気で、2011年に中国で発見された感染症で、マダニを介してウイルスが人に感染しする可能性が示唆されています。6日〜2週間の潜伏期間を経て、発熱、倦怠感、消化器症状、出血などの症状がみられます。日本でも年々感染者が増加していて、2020年4月の時点で感染者が517名確認されており、兵庫県でも4人の感染が報告されています。致死率は6~30%と非常に高く、大変危険な病気です。
また、犬や猫の感染も報告されており、犬や猫から人に感染した疑いもあるケースが出てきています。犬や猫のマダニ予防をしっかり行うことで感染リスクを減らすことができます。ワンちゃん・ネコちゃん、そしてご家族の皆さんを守るためのマダニ予防をしっかり行いましょう!
よく草の中に入る、山に遊びに行くなど、感染リスクが高いところに行くことが多い場合は年中予防を行うのがおすすめです。また、散歩くらいしか外に出ない子でも、気温が暖かくなってマダニの活動が活性化する3月からマダニ予防をしっかり行いましょう。 -
Column
意外にも、マダニは身近に…!?
あるお天気のいい日、我が家の玄関先に洗った後のクーラーボックスを立てかけて干していました。そろそろ取り込もうかな、と手に取ると…小さい虫のようなものが。
「ん?クモかなー。はらおうかな〜」
…。
「!!!!!」「マダニ〜〜〜〜!!!!!!!!」
「なんで?どうして?誰か靴や体にくっつけてきた?
近所に野良猫歩いているしな?!でもうちの敷地には入ってきてないつもりなんだけどな!」このように、普通の住宅街であったとしても、マダニが潜んでおり、どこでも安心はできません!だからこそ、マダニに刺されないように予防をすることが大切なのです。
また、マダニをみつけても、決して潰さないでくださいね!
マダニの体内にいるウイルスその他の病原体をまき散らすことになってしまいます。
わんちゃん、ネコちゃんにマダニが吸着してしまっている場合、無理に引っこ抜こうとすると、潰してしまったり、口の一部が皮膚に残って化膿やしこりの原因になってしまうことがあります。
病院に連絡して処置するのが望ましいですね。草むらなどの自然豊かな場所やドックランを利用した際は、車に乗ったりお家に入る前に、わんちゃんの体を観察しながら手で毛をはらってあげると、全てではないかもしれませんが、まだ毛に付着しているだけの段階のマダニを払い落とすことができます。
人間も、肌をあまり露出させないように(特に足)注意して、お出かけを楽しんでくださいね。