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ペットの多飲多尿に注意!病気のサインを見逃さないために

はじめに

「最近、水をたくさん飲むようになった」「トイレの回数や量が明らかに増えた」――こうした変化に気づいたことはありませんか?
犬や猫が水を多く飲み、尿の量が増える「多飲多尿(たいんたにょう)」は、さまざまな病気の初期症状として現れる重要なサインです。

この症状は、暑さや運動量の影響だけでは済まされないこともあり、見逃すと重篤な疾患につながる可能性があります。このコラムでは、多飲多尿の原因として考えられる主な疾患や検査内容、飼い主様が注意すべきポイントを詳しくご紹介します。

多飲多尿とは?

「多飲」は、犬で体重1kgあたり1日で100ml以上、猫で体重1kgあたり1日で50ml以上の水を飲む状態を指します。例えば、5kgの犬が500ml以上飲んでいると要注意、猫では3kgの子が150ml以上飲んでいると要注意です。
「多尿」とは、尿量が明らかに増える、あるいは頻繁にトイレに行く状態です。

多飲多尿は、単なる行動変化に見えるかもしれませんが、内臓疾患やホルモン異常などの早期サインである可能性が高く、見過ごすべきではありません。

多飲多尿が見られる主な病気

慢性腎臓病(CKD)

腎臓の機能が徐々に失われていく進行性の病気です。腎臓は血液をろ過し、老廃物を尿として排出する役割がありますが、この働きが弱まると尿が希釈され、多尿になります。体内の水分を維持しようとして、多飲が起こります。

高齢の犬猫では発症リスクが高く、定期的な血液検査で早期発見が可能です。
特に猫では死因の第1位で、高齢の猫でとても多い病気になります。

早期に気づいてケアをすることで元気に過ごせる期間を長くできるので、早期発見がとても重要な病気になります。

糖尿病

インスリンの働きが低下すると、血糖値が上昇し、尿に糖が出ることで尿量が増加します。水分を失いやすくなり、脱水を補うために多飲になります。
進行すると体重減少、食欲不振、ケトアシドーシスなどの重症化を招くこともあります。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

副腎からのコルチゾール過剰分泌により、多飲多尿だけでなく、腹部膨満、皮膚の薄化、筋肉の萎縮などが見られます。特に中高齢の犬で多く、ホルモン検査が必要です。

子宮蓄膿症

未避妊の雌犬でよく見られ、子宮内に膿がたまり感染が進行する疾患です。発熱や元気消失とともに多飲多尿が見られることがあり、早期の診断と外科的治療が必要になります。

甲状腺機能亢進症(猫)

中~高齢の猫に多く、代謝が活性化することで、多飲多尿、食欲増加、体重減少、嘔吐などが見られます。血液検査でホルモン値を測定することで診断されます。

高カルシウム血症

血中カルシウム濃度が異常に高くなる状態で、原因としてはリンパ腫や副甲状腺の異常、副腎皮質機能低下症などがあります。高カルシウム血症では、腎臓への負担が大きくなるため、多尿とそれに伴う多飲が見られます。
初期には症状が軽いため見逃されがちですが、血液検査での早期発見が重要です。

検査で分かること

血液検査

腎機能(BUN・クレアチニン)、血糖値、カルシウム値、電解質、ホルモンバランスを確認します。異常があると、糖尿病や腎臓病、ホルモン性疾患の可能性が浮上します。

尿検査

尿比重の低下、糖尿の有無、タンパク尿、潜血などを調べ、腎機能や感染の可能性を評価します。

超音波・X線検査

内臓の形状や大きさを確認し、腫瘍や子宮の異常、腎臓の構造異常などを見つけることができます。

ホルモン検査

甲状腺や副腎に関係するホルモンを調べ、ホルモン性疾患を特定します。

飼い主様ができる対策

  1. 飲水量・排尿量を記録する
    毎日の水の減り方、トイレ回数、尿の色・量などをチェックすることで、異常に気づきやすくなります。
  2. 定期健康診断を受ける
    年に1~2回の血液・尿検査を習慣にすることで、慢性疾患の早期発見につながります。
  3. 早めの受診を心がける
    「いつもよりちょっと多く水を飲んでるかも?」と感じた時点で動物病院を受診することが、早期治療の鍵になります。
  4. 食事内容の見直し
    疾患に応じて療法食が必要になることもあるため、獣医師の指導を受けましょう。

まとめ

多飲多尿は単なる体質ではなく、病気の初期症状である可能性が非常に高いサインです。特に高齢の犬猫では、腎疾患やホルモン異常、がんなど重大な疾患が背景にあることもあります。

当院では、多飲多尿の原因を詳しく調べるための各種検査に対応しております。気になる症状が見られた場合は、早めにご相談ください。
小さな変化を見逃さず、健康寿命を延ばすために、飼い主様と一緒にしっかりサポートしてまいります。