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コラム呼吸器
犬の咳は風邪ではない?呼吸器系の病気とその対策
はじめに
冬の寒さが厳しくなる季節、犬の「咳」が気になることはありませんか?一見、風邪のように思われがちですが、犬の咳はさまざまな病気のサインである場合があります。
本コラムでは、冬に多い犬の呼吸器系の病気について解説し、咳の原因や対策、予防方法を詳しくご紹介します。

犬の咳とは?その特徴と注意すべきポイント
犬の咳は、人間と同じく呼吸器に異常がある際に現れる症状の一つです。咳の種類や頻度、伴う症状によって、さまざまな病気が考えられます。
咳の種類
- 乾いた咳:ガラガラした音の咳で、気管支炎や気管虚脱が疑われます。
- 湿った咳:痰(たん)が絡むような音の咳で、肺炎や心臓病の可能性があります。
- 連続した咳:興奮した後や運動後に咳が頻発する場合、気管虚脱、気管支炎やアレルギーが原因かもしれません。
咳以外の症状も確認
咳に加えて以下の症状が見られる場合、呼吸器以外の病気の可能性もあります。
- 呼吸が苦しそう(ゼーゼー音や浅い呼吸)
- 食欲低下
- 元気がなくなる
- 鼻水や目やにが増える
これらの症状が見られたら、早めに動物病院を受診することが重要です。
冬に多い犬の呼吸器系の病気
冬の寒さは犬の体にさまざまな影響を及ぼします。その中でも、以下の病気は特に注意が必要です。
1. ケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)
ケンネルコフは、犬同士の接触や空気感染によって広がる、主に若齢犬に起こる感染症です。ウイルスや細菌が原因で発症し、特に冬場は集団生活をする犬に流行しやすくなります。
- 主な症状:乾いた咳(気管内の分泌物が増加すると湿った咳になってくることも)、発熱、元気の低下
- 治療法:抗生物質や抗炎症剤の投与が一般的です。重症化する前に早期治療を行いましょう。
2. 気管虚脱
特に小型犬に多く見られる病気で、気管がつぶれてしまうことによって咳が出ます。冬場の冷たい空気や興奮が症状を悪化させることがあります。
- 主な症状:乾いた咳(ガラガラ音)、運動後に咳がひどくなる
- 治療法:症状を抑えるための薬が一般的ですが、重篤化すると手術が必要なこともあります。
3. 気管支炎
気管や気管支に炎症が起きることで咳が発生します。寒さや乾燥した空気が原因となり、冬場に悪化しやすい病気です。
- 主な症状:湿った咳、痰が絡むような咳
- 治療法:気管支を拡張する薬や抗生物質の使用が一般的です。
4. 肺炎
肺に炎症が起きることで発症する病気で、命に関わる可能性もあるため注意が必要です。感染症や異物の吸引が原因で発症します。
- 主な症状:湿った咳、呼吸困難、元気の低下
- 治療法:抗生物質や酸素療法など、重症度に応じた治療が必要です。
5. 心臓病による咳
特に高齢犬に多い病気で、心臓が肥大することで気管を圧迫し咳が出たり、心臓の問題が原因で肺に水がたまり、咳が発生します。寒さが心臓に負担をかけ、症状を悪化させることがあります。
- 主な症状:乾いた咳(心肥大による気管刺激の場合)、湿った咳(肺に水が溜まっている場合)、運動後の息切れ
- 治療法:心臓の機能をサポートする薬が使用されます。特に肺に水が溜まっている場合は早急な治療が必要となります。
犬の呼吸器系トラブルの対策と予防
寒い冬に犬の咳を防ぐためには、日頃のケアと環境作りが重要です。以下の対策を取り入れてみましょう。
1. 室内環境の整備
- 室温を20℃以上に保ち、寒さによる体温低下を防ぐ。
- 空気の乾燥を防ぐために加湿器を使用し、湿度を50〜60%に保つ。
2. 散歩や運動時の注意
- 冬場の散歩では、短時間で切り上げるか、防寒着を着用させる。
- 運動後はしっかり体を温めることで冷えを防ぎます。
3. 予防接種と定期健診
- ケンネルコフや他の感染症のリスクを減らすため、予防接種を忘れずに行いましょう。
- 呼吸器系の問題は早期発見が重要なため、定期的に健康診断を受けることが大切です。
4. バランスの取れた食事
免疫力を高めるため、栄養バランスの良いフードを選びましょう。必要に応じてサプリメントを活用するのも良い方法です。
5. ストレス管理
飼い主とのスキンシップや適度な運動は、ストレスを軽減し、健康を維持する鍵となります。
咳が見られたら動物病院へ相談を!
犬の咳はさまざまな病気のサインであるため、「ただの風邪」と軽視せずに、専門家の診断を受けることが重要です。特に次のような場合は、早急に受診しましょう。
- 咳が数日以上続く
- 咳に加えて呼吸が苦しそう
- 食欲不振や元気の低下が見られる
当院では犬の呼吸器系トラブルの診察と治療を行っています
当院では、ケンネルコフや気管支炎、気管虚脱などの呼吸器系の病気に対応するための診察を行っています。早期診断と適切な治療で、愛犬の健康をサポートいたします。咳や呼吸の異常が見られる場合は、お気軽にご相談ください。
まとめ
冬場の犬の咳は、風邪ではなく呼吸器系の病気の可能性があります。早めに原因を特定し、適切な対策を取ることで、愛犬の健康を守ることができます。
寒い季節も安心して過ごせるよう、日々のケアを大切にしましょう。