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八重と腫瘍

実は、病院犬の八重ですが、今年になって腫瘍が見つかりました。

患者様の中には診察中にお話させていただいた方もいらっしゃるのでご存じの方もいらっしゃいますが、改めてブログで報告していきたいと思います。

本当はもっと早くご報告をすべきだったのですが、遅くなってしまい申し訳ありません。。。

少し長い内容になるので、何回かに分けて更新していきますね。

一緒に八重の腫瘍がどういうものかについてもお話していきますので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです☺

なんだか重苦しい前書きになりましたが、結論から先にお伝えすると八重は今も元気にしていますので、病院で見かけたら声をかけてあげてください!喜びます(笑)

 

話は遡りますが、今年の6月になります。

八重を触っているとふと左の側腹の皮膚の下に1㎝くらいの柔らかいしこりがあることに気づきました。

ただ、しばらく触っていると消えてしまいます。

触り心地は脂肪腫(皮膚にできる脂肪由来の良性腫瘍)かな?ただ脂肪腫ができるにしても少し若いかな?

触っているとわからなくなるので気のせいかな??とも考えていました。

その後、数日みても同じようにしこりがあり、やはり触っているとわからなくなってしまいます。

脂肪腫にしては触ってて消えるのはおかしいのではないか、もしかしたら他のものかもしれない。

一部の悪性腫瘍で血液などの液体が貯留している場合もあり、そういう悪性のものも考えられるのではないか。

ただ、同時にこの年であり得るのか?とも思ってしまいます(この時点では八重は1歳半です)。

 

細胞診は、一部の腫瘍では確定診断になることはありますが、多くの腫瘍では細胞診だけでは残念ながら診断には至りません。

具体的には、病変が炎症によるものなのか、腫瘍が疑わしいのか、腫瘍の可能性が高い場合、上皮由来なのか、非上皮由来なのか、良性なのか、悪性が疑わしいのか、などを可能性が高い順にリストアップすることが目的となります。

今回、八重から採取できたのは血液成分のみでした。

もちろん、血管をさしてしまい血が採取されることはあるので、場所を変えて再度検査しても血液しか採れません。

通常脂肪腫であれば、脂肪滴や脂肪細胞が採取されるので、脂肪腫の可能性は低いかもしれない。 

特に悪い細胞は採れていませんが、血液が取れていることから血管の腫瘍の可能性を考え手術を行うことにしました。

できれば、血管腫という良性腫瘍であってほしいですが、血管肉腫という悪性腫瘍を想定し、手術により大きく切除することにしました。

 

転移があった場合、手術による根治が難しくなるため、抗がん剤などで腫瘍の進行を遅らせる治療に切り替えることも考えなければなりません。そのため、手術前に転移の有無を確認しておくことはとても重要です。

エコーやレントゲン検査にて、血管肉腫の好発部位である脾臓や肝臓、心臓などに腫瘍がないか確認し、手術前の時点では明確な腫瘍は他にみつかりませんでした。

また、血液検査も行い臓器の状態も手術するにあたって問題ないことを確認していきます。

特に、大きな異常は見つからなかったので、予定通り手術を実施することになりました。

  

続く