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犬猫の高血圧 ~目が見えなくなることもあります~

はじめに

「高血圧」と聞くと、人間の生活習慣病を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし実は、犬や猫にも高血圧は存在します。そして犬猫の場合、人のように頭痛や肩こりを訴えることができないため、症状に気づいたときには病気がかなり進行していることも少なくありません。

特に猫では、高血圧によって突然失明してしまうことがあります。
また、犬や猫の高血圧は心臓や腎臓、脳などの重要な臓器に大きなダメージを与えることが知られています。

近年は犬や猫の寿命が延び、高齢の子が増えています。それに伴い、高血圧と診断されるケースも増加しています。

今回は犬猫の高血圧について、原因や症状、検査の重要性、治療方法について詳しく解説します。

高血圧とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。
この圧力が慢性的に高い状態を「高血圧」と呼びます。

血圧が高い状態が続くと、血管は常に強い圧力にさらされるため、少しずつ傷ついていきます。

その結果、

  • 心臓
  • 腎臓

などの重要な臓器に障害が発生します。

高血圧は「沈黙の病気」と呼ばれることがあります。
なぜなら初期にはほとんど症状が現れないからです。

犬や猫でも同様で、飼い主様が異変に気づいた時にはすでに臓器障害が起きていることがあります。

犬猫の高血圧はなぜ起こるの?

人では生活習慣病としての高血圧が多いですが、犬猫では他の病気が原因となる「二次性高血圧」が多いです。

猫で多い原因

慢性腎臓病

最も多い原因です。

腎臓は血圧を調整する働きを持っています。腎臓病になると血圧を正常に保つことができなくなり、高血圧を引き起こします。
特に10歳以上の猫では非常に多くみられます。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
代謝が異常に活発になり、

  • 多飲多尿
  • 体重減少
  • 落ち着きがなくなる

などの症状が現れます。
高血圧を併発することも少なくありません。

心疾患

肥大型心筋症などの心臓病でも高血圧がみられることがあります。

犬で多い原因

慢性腎臓病

犬でも高齢になると増えてきます。
猫と同様に高血圧の原因となります。

クッシング症候群

正式名称を「副腎皮質機能亢進症」といいます。
副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。

症状として

  • 多飲多尿
  • お腹が膨らむ
  • 脱毛

などがみられます。
高血圧を起こしやすい病気として知られています。

糖尿病

糖尿病によって血管が障害され、高血圧を引き起こすことがあります。

高血圧で目が見えなくなる?

高血圧で最も怖い症状の一つが「失明」です。
特に猫ではよくみられます。

網膜剥離とは?

目の奥には「網膜」という神経の膜があります。
カメラで例えるとフィルムのような役割をしています。

高血圧によって目の血管が傷つくと、

  • 出血
  • 浮腫(むくみ)
  • 網膜剥離

が起こります。

その結果、突然視力を失うことがあります。

こんな症状は要注意

  • 家具にぶつかる
  • 段差を踏み外す
  • 瞳孔が開いたまま
  • 夜だけでなく昼も見えにくそう
  • 呼んでも反応しない

このような症状がみられたら早急な受診が必要です。

高血圧による脳への影響

脳の血管も高血圧によってダメージを受けます。
すると、

  • 発作
  • ふらつき
  • 旋回運動
  • 意識障害

などの神経症状が現れることがあります。

高血圧性脳症と呼ばれ、緊急治療が必要になる場合もあります。

心臓への影響

高血圧になると心臓は強い圧力に逆らって血液を送り出さなければなりません。
その結果、

心肥大

心臓の筋肉が厚くなります。

心不全

心臓が疲れてしまい、

  • 呼吸が苦しい
  • 運動を嫌がる

などの症状が現れることがあります。

腎臓病との深い関係

高血圧と腎臓病は密接な関係があります。

腎臓病になる

高血圧になる

腎臓の血管が傷つく

さらに腎臓病が進行する

という悪循環に陥ることがあります。

そのため腎臓病の治療では血圧管理が非常に重要になります。

高血圧の症状は気づきにくい

実際には、

  • 元気がない
  • 食欲が落ちた
  • 寝ていることが増えた

程度しか症状が出ないこともあります。
そのため症状だけで高血圧を見つけることは困難です。

血圧測定の重要性

人間では健康診断で血圧を測定することが一般的です。
しかし犬猫ではまだまだ測定する機会が少ないのが現状です。

特に

  • 7歳以上
  • 腎臓病
  • 心疾患
  • 糖尿病
  • 甲状腺疾患
  • クッシング症候群

がある場合は定期的な血圧測定をおすすめします。

血圧測定は痛くありません

血圧測定は非常に簡単な検査です。
腕や足、しっぽに専用のカフを巻き、数回測定を行います。

麻酔も必要なく、痛みもありません。
数分で終了する検査です。

当院では新しい血圧計を導入しました

当院ではこのたび、新しい動物用血圧計を導入いたしました。
従来の機器よりも測定精度が向上し、犬猫への負担をできるだけ少なくしながら血圧測定を行うことが可能になりました。

高血圧は外見だけでは分かりません。だからこそ定期的な測定が重要です。
特にシニア期に入った犬猫では健康診断の一環として血圧測定をおすすめしています。

高血圧の治療

高血圧と診断された場合は、

原因疾患の治療

  • 腎臓病
  • 甲状腺疾患
  • クッシング症候群

などの治療を行います。

降圧剤

血圧を下げるお薬を使用します。
代表的には

  • アムロジピン
  • ACE阻害薬

などがあります。

血圧をコントロールすることで、

  • 失明予防
  • 心臓保護
  • 腎臓保護

につながります。

健康診断で早期発見を

高血圧は症状が出てからでは手遅れになることもあります。
そのため健康診断による早期発見が重要です。

血液検査や尿検査に加えて血圧測定を行うことで、

  • 腎臓病
  • 心疾患
  • 内分泌疾患

の早期発見につながります。

まとめ

犬や猫の高血圧は決して珍しい病気ではありません。
特にシニア期の犬猫では発症率が高くなります。

そして高血圧は、

  • 失明
  • 脳神経症状
  • 心不全
  • 腎臓病の悪化

などの重大な問題を引き起こします。
しかし、定期的な血圧測定によって早期発見し、適切な治療を行うことで、これらのリスクを減らすことができます。

当院では新しい血圧計を導入し、より正確で負担の少ない血圧測定が可能になりました。
シニア犬・シニア猫の健康管理や健康診断をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

大切なご家族である犬や猫が、これからも元気に過ごせるようサポートさせていただきます。

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